さて、2日目の展示会ともなるとお客さんに目を配る余裕が出てきた。
アメリカの人たちはずいぶんとおしゃれになったなぁ、と感じた。
ファッション雑誌から出てきたような人も多かった。
きっと日本も他所からみればそうなのだろう。
BEEHOUSEのブースに来られるバイヤーさんにはゲイの人もけっこういるらしい。
さすがはカストロストリートのあるサンフランシスコ、
繊細な感性が要求される分野では必ずゲイの人が活躍している。
日本でも最近はそういう認識は当たり前になってきたな。
著名な雑誌の記事によると広告業界も最近はゲイに直接訴えかける広告が注目されているようだ。
「ゲイはお金持ち」そんな事情もあるらしい。
ブースを訪れるバイヤーや、チラッと関心を示してくれる方達のなかに、
現地で紙のお店をやっていらっしゃる方達もいた。
製品については概ね好評だが、ネックは値段だった。
「これじゃ、たぶん売れない」と来る人来る人に言われた。
展示会前には「中流以上で日本文化に少なからず関心のある層」をねらえばイケル値段ではないか?と踏んでいたのだが、どうも甘かったらしい。
「カードの値ごろ感」がきちっと決まっているようで、ほとんどのバイヤーが同じ小売価格帯を提示してきた。
「4ドル〜6ドルまで、7ドルを超すと回転しない」
そうなのだ「すごくいい物」というこだわりの前に、価格ありきの製品群だった。
つまり特別なものではなくズバリ消耗品なのだ。
し・か・し・・・
バイヤーから話を聞けば聞くほど
「1個も売れないかもしれない」という考えに占領され始めた
その頃、繊細な雰囲気ただよう中年男性がこの製品に関心を示してくれた。
7ドルを超えてしまうわが製品群を、
な、なんと買ってくれるお店がとうとう現れたのだ
(涙・涙・涙)
私の心はパァ〜と晴れ上がった。
その店はサンフランシスコ校外の小さな町でお茶と本を扱うお店。
カード類も店頭に並べているという。
Thank You ! Thank you so much!
その店主に何度もお辞儀をしている私は、アメリカ人から見れば本当に滑稽だったろうな。
「よかった、とにかく売れた。面目が立った・・・」心からホッとした。
その後は「これは売れるかもしれない」と急に肯定的な気分になり、
通りを行過ぎる人ごとに「Hello!」「How are You?」と積極的に声をかけた。
あっという間に閉館の時間になった。
本日の食事は、お祝い気分でサウサリートへでも、と誘われた。
サウサリートの地名は聞いたことがあったが、全く知らなかった。
「どこです、それ?」
「ゴールデンゲートを渡って対岸の街ですよ、
すごく雰囲気のいい町でお金持ちがたくさん住んでいるんです。
作家とかミュージシャンとか・・・
ヨットハーバーなんかもあって皆が
あそびながら暮らしているような・・・」
「日本でいうと鎌倉?湘南?」
「まぁ、行ってみましょう!」
久しぶりにゴールデンゲートを渡るというので気分が盛り上がってきた。
「日本から来る友達の中には、明石大橋と変わらないという人もいるんですよ」
「それは、ないない!」
「ですよね〜!ずっとゴールデンゲートの方がいいですよね」
などと絶賛しながら渡った。
う〜ん、しあわせ!サンフランシスコ湾の美しさよ!
夕方7時といってもまだまだ明るい、
アルカトラズ島を眺めながら潮の早いサンフランシスコ湾を望む。
本当に素敵な風景。
初めて行ったサウサリートも、感動するほど美しかった。
おいしい食事とお酒に舌鼓を打ちながら会話も弾んだ。
こんな日がまた来ればいいな、と思える楽しい夜だった。
明日も天気になーれ!と思いながら宿に帰った。
カリフォルニアはいつだってお天気だ。